マーメイドの恋[完結]

頭の中で、いろいろと献立を思い浮かべていると、炊飯器や電子レンジも欲しくなってきた。


だが、ほんとに欲しいのはオーブンレンジだ。
それは引越しした時にしか買えないだろうと思った。


夏子は、いろいろ考えていると、いったい何が必要なのかわからなくなり、途方に暮れてしまった。


ーとにかく今一番必要なものを買って帰らなくちゃ。フライパンとお鍋の両方は無理。どうしようー


夏子は、フライパンと鍋を、交互に見たり触ったりして迷っていた。
しかし、こういうことをしているのが、とても楽しくてたまらなかった。


夏子は、結局片手鍋を買うことにした。
その理由は、テフロン加工された鍋なら、炒め物も煮物もできるからだ。


夏子の頭の中は、もう伊原の部屋で料理をしている自分の姿でいっぱいになっていた。
自然と顔がニヤついて、ハッとして周りを見回すことを何度も繰り返した。


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