マーメイドの恋[完結]

他に小さめの包丁やキッチン用品を少し買い、伊原のマンションに戻ることにした。


夏子は合鍵を鍵穴にさし左に回した。
何故かカチリという音がしなかった。


ーあれ?鍵かかってない?私、出るときちゃんと閉めたよね。篤志さん帰ってきたのかなー


夏子は玄関のドアを開けた。


ウィーンウィーン


ー何の音?あっ、ハイヒール……お母さんが来たのかしら。掃除機をかけてるんだわ、どうしようー


夏子は迷ったが、毛布を干していることを思い出し、伊原の母親に挨拶することにした。


すぐに掃除機をかけている人の姿が見えた。
しかし、伊原の母親にしては若すぎる。
伊原と同じくらいか、少し上くらいの女性だ。


ー篤志さんのお姉さんかしら。そういえば、兄弟の話は聞いていなかったわー


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