マーメイドの恋[完結]

夏子は、LINEで伊原のブロックを解除して、もう一度メールを送ることにした。


「篤志さん。いま家に戻りました。話がしたいので、時間がある時に電話をして下さい。待っています」


伊原の声が聞きたかった。
倉沢には悪いが、倉沢から好きだと言われて、なおさら自分は、伊原のことが好
きなんだとハッキリとわかったのだ。


倉沢は優しい人みたいだったが、たぶん好きにはなれないと思った。
伊原のような男ではないと、夏子の心と身体は満たされない。


夏子は、伊原から電話がくるまで、ベッドの下に座り込み、ベッドを抱くようにして目を閉じた。
まるで、伊原に寄り添っているかのような気分だった。


伊原と過ごした昨夜のことを、何度も何度も思い出した。


ー結婚しようって言ったじゃない。一緒に暮らそうって言ったじゃないー


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