マーメイドの恋[完結]
そのまま夏子は眠ってしまったようだ。
ケータイが鳴る音で目が覚め、慌ててケータイを手に取り電話に出た。
「もしもし夏子?」
「はい」
「恵美から聞いたよ。ごめん、恵美が彼女とかそんなんやないけん」
ーエミエミって呼び捨てにしてるじゃないのー
「そのエミさんって人は、彼女だって言ってたんだけど」
「違うって。今、夏子のマンションの下まで来とうけん、部屋まで行ってよか?どこの部屋なん?」
ーえっ?下に来てるの?今何時?うわっ、もう夜の7時じゃないー
「待って。下に下りて行くから」
伊原が会いに来てくれた。
夏子は嬉しいような怖いような、変な気分だった。
伊原の言い訳を全部受け入れることができるのかどうか……。