今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
「あ……あの」

 陽菜が口を開きかけたその時に、


「これ、もーらい」

 1人が俺の弁当箱からから揚げを摘まんで、口の中に放り込んだ。

「うっめー」

 それを聞いたもう一人が卵焼きに手を伸ばす。


 これ以上食べられてたまるか。

 蓋を閉じようとしたけれど、間に合わず気づいたときには、ヤツの口の中。
 もぐもぐとあっという間に食べられてしまった。


「マジ、うまかった」

 満足そうな顔をしやがって、俺はまだ一口も食べていないんだぞ。

「おまえら、もういいだろ。サッサと帰れ」

 ギロッと睨みつけると「おーこわっ」とヤツらは肩を竦めて、お互い顔を見合わせる。
 尚も、睨んでやると、

「はい、はい。邪魔者は退散します」

「ごゆっくりー」

 口々に言いながら去っていった。


 分かってんなら最初から声かけんな。弁当も食っていくな。




 まったく、気分が台無しだぜ。

 
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