今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
僕達はパジャマに着替えて、ベッドの中に潜り込んだ。

 陽菜のクローゼットの一番下の引き出しは僕専用。着替え一式が中に入っている。
小さい時からの習慣は今も変わらない。


「あったかいね」

 僕の腕の中でポツリと呟いた一言が今日は心に染みた。


 僕の方が泣きそうだよ。


「陽菜だって、あったかいよ」

 涙で詰まりそうになるのをグッとこらえて、明るく答えた。




「わたしね。怖かったの」

 お互いの体温で温まって、その心地よさにウトウトとし始めた頃だった。


「小学生の頃から優勝していて、順調すぎるほど順調で、中1の時はダメだったけど、中2では優勝できたでしょう? あれで油断していたのかな。テングになっていたのかな」

 陽菜は淡々と言葉を紡いでいく。


 僕に聞かせたいのか、自分に言い聞かせているのか。
 それとも両方なのか。




 僕は黙って陽菜の話に耳を傾けた。

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