今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
「中3の時の全国大会が忘れられないの」

 僕も覚えている。

「あんな選手初めてだった。全てを兼ね備えていて……」


 明かりを消した暗闇の部屋の中で、お互いの体温が頼りだった。

「自分の思い通りにならない試合なんて、初めてだった。全てが相手の手の内で、敵わないって思った。同級生で、こんなスゴイ選手がいたんだって。今度の大会、彼女が出るの……あの時よりもずっと、強くなってる。そう思ったら、怖くて、怖くて……たまらなかったの」

 
 初めての敗北感。

 今まで、負け知らずだった陽菜に黒星をつけた選手。


 中1の時に負けた時は、サバサバとしたものだったのに。

 次頑張ればいいねって、気持ちの切り替えも早かったのに。



 最終学年ってこともあったのかもしれないけど、敗戦してしまったことは、結構あとまで引いていた。

 
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