今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
「陽菜、ここにいたんだ」

 聞きなれた声に僕達の穏やかな時間が終わりを告げた。


「萌絵」

 陽菜が声のした方に振り向いて声をかける。

「探したよ。陽菜、監督が呼んでるよ」

「そうなの? やっと、歩夢とゆっくり話せると思っていたのに」

 残念そうな声がして陽菜は、不承不承立ち上がった。

「じゃあ、歩夢、またね」


 バイバイと手を振って陽菜を見送っていた僕は、ふと視線を感じて顏を上げた。

 視線の先には萌絵さん。

 どうしたんだろ?

 見過ぎだよ。


僕の顔に何かついてる?

 無言でたっぷり数十秒。
 穴があくかと思うくらい僕を見つめていた萌絵さんが、僕の隣に座った。


「あゆくん、久しぶり。元気だった?」

「はい。元気でしたよ。萌絵さんもお疲れさま。団体戦、優勝おめでとうございます。見事なデビュー戦でしたね」


 僕の言葉に彼女はにっこりと笑った。

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