名無しの手紙
「人の下駄箱で何してんの?」
ふりかえったところにあいつがいた。
「自意識過剰?お前の下駄箱に用なんかない」
わたしはできるだけ顔を見ないようにして答えた。
一瞬、不快そうに歪んだあいつの顔が見えた。
それから舌打ちが聞こえてきた。
「あんたほんとうざいな」
これまでも何度も聞いたその言葉。
聞くたびに傷つき、そして
聞くたびに安心するんだ。
よかった、今日も”ちゃんと”嫌われてる。