誘う、誘ってる【短編】
社用車に乗り、2人で固定先を回る。

最初は私が案内していたけれど。

鹿島さんがうちの課に来て1か月、場所を覚えた彼が運転をする。私はそんな彼の横顔を助手席から見ていた。

相変わらず不機嫌そう。


「あの」
「何?」


“私、何かしたでしょうか……?”


そう尋ねようとしてやめてしまった。


「いえ。何でもないです、ごめんなさい」
「変な子だね」
「よく言われます……」


私が狙っても、撃ち落とせる筈もない。

< 3 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop