きみは金色
『みんなで気持ちをひとつにして歌いましょう』
…高校生にもなって、そういうの、いらないっつーか。
至上最上級に盛り上がらないっつーか。
その盛り上がらないイベントの、練習のために残らなければいけない状況。
テンションなんて、上がるわけがなかった。
「あ、あの、では、ぼくがワンフレーズずつ区切ってCDをかけるので…み、みんなはあとに続いて、うっ、歌ってください…っ」
仕切りを任された委員長が、オドオドしながら説明をはじめる。
でも、このやる気ゼロな空気。
だれも全く、聞く耳もたずだ。
おれたちの高校は、頭の良さ的に言うと、下から数えた方が圧倒的に早いレベル。
中の下の、さらにもう1つ下クラスの生徒の、ふきだまり校。
マジメに取り組む行事があるとしたら…そうだな。
それこそ球技大会の、ドッチボール競技くらいだ。多分。