久しぶりだね初対面
第二章
待て待て、久我時生、落ち着け。

よーく考えてみよう。

さっきまで俺は自室のベッドで寝ていたんだ。

夕飯も食っただろ?

風呂にも入ってさっぱりしただろ?

いつもの部屋着のスエットに着替えて、すっかりまったりモードに入ってたよな?

うん、そこまでは覚えている。

意識ははっきりしているな。

じゃあ改めて周りを見回してみよう。

…俺は何でトイレの個室にいる?

洋式便座に腰掛けたまま考える。

いつの間にか着ている服まで、学校の制服に変わっちまってやがる。

「…そうか、はは」

こういう時、人間の思考パターンは決まっている。

理解できない時は夢のせいにしてしまう。

てか夢だ、そうに決まっている。

さっきまで部屋で寝てたのに、目が覚めたらどことも知れないトイレの個室にいたなんて、そんな事ある訳がない。

…そう思いながらつねった頬は、容赦しなかった分、遠慮なく痛かった。



< 13 / 88 >

この作品をシェア

pagetop