久しぶりだね初対面
頭が重い。

体が鉛みたいだ。

まるで海の底に引きずり込まれていくような感覚。

誰かが意識の底で、おいでおいでをしている。

さぁ、早くおいで。

素直に眠ってしまいなさい。

これから君に、本当の事を教えてあげる。

声なき声という奴だろうか…そんなのが、頭の奥から聞こえてくるような…。

根っからの現実的な人間なんだろうな。

眠りに落ちる寸前まで、俺は自分で自分に説明を与えてやっていた。

これは夢なんだ、眠り始めのよくある夢。

でなきゃ、頭の中から別人の声が聞こえる訳なんてないじゃないか。

ましてやその声が、何となく双葉に似ているなんて…。

そんな自分との会話をしながら…。







目が覚めると、トイレの個室にいた。
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