久しぶりだね初対面
顔立ちも俺の知っている彼女より幼いし、髪もツインテールではなくセミロング。

だが、俺の知っている彼女の面影が確かにあった。

自信があった。

彼女は中学時代の双葉だ。

しかし。

「…誰ですか、あなた?」

俺の知っている双葉とは似ても似つかないような愛想のない…冷徹といってもいいくらいの声で、その女生徒は言い放つ。

「私の名字は伊藤です。人違いじゃないですか?」

「え…?」

俺は間の抜けた声を出してしまう。

そんな…こんなに双葉によく似てるのに、双葉とは別人なのか…?

信じられないが、本人がそう言うのだから間違いないんだろう。

「…ごめん、人違いだったみたいだ」

俺はその伊藤という女生徒に詫びると、そのまま背を向けて歩き始めた。




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