記憶のカケラ。〜君を思って前に進もう〜
二人がこうしてくる事は、もう毎朝の

事。

「ん。いいよ。……はい。」

別に見せて減るものでもないし。

いつものようにノートを差し出す。

「いや~!まじサンクス!」

「ほんとほんと!今宵、まじ神!」

二人共、毎朝毎朝大袈裟すぎ。

でも、騒がしい二人と居たら自然と笑え

る。私は二人の側でこうして笑っている

だけなんだけど、これが唯一、前を向い

て生きてられる理由なのかもしれない。

ーキーンコーンカーンコーン……ーー

「はぁーい。席に着け。」

担任の真鍋がいつも通りダルそうに

学級名簿を持って教室に入ってきた。

あまり手入れしてないヒゲ。それにアイ

ロンをしてないと思えるシャツ。相変わ

らず、不清潔すぎる。

「やっべ!んじゃ、一旦席戻るわ!」

「私も!」

伽奈の席は私のベランダ側の席とは離れ

た廊下側の席。

んで、颯の席はというと……私の隣。

一旦席戻るって……戻るもなにも横じゃ

ん。…ま、これもいつもの事。

そんなこんなでHRが始まり私はいつも

のように窓の外に目を移す。

昨日よりもまた木々たちが彩りを無くし

ているような気がする。毎日毎日ここか

らの景色を眺めていても決して毎日同じ

模様ではなく自然は、私に変化を見せて

くれる。その度、「あ、私生きてる。」

と感じるのと同時に、叶汰がいなくなっ

てからも時は流れているという事が現実

に見せられる。







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