ライギョ

「良かったら、手伝いますよ。」


「えっ？良いわよ、悪いし。」


日頃、テキパキと一人でこの店を切り盛りする千晶さんだけど、どうやら事務的な事は苦手らしい。


カウンター席に座りながらにパソコンを睨みつける千晶さんに思わず声を掛けた。


「良いですよ。俺これと言ってこの後、用も無いですし、いつもお世話になってるんでこれくらい……何か入力とかするんですか？」


一つ間を開けて座っていた席を詰めてパソコンを覗き込む。


どうやら仕入れだとかそういった事をデータ化しているらしい。


「どう？分かる？」


と、急にこちらに振り向いた千晶さんの顔が思いの外近くて狼狽えそうになるのを何とか堪える。


「これなら、俺出来ますよ。」


そう言いながらパソコンをこちらに寄せた。