ライギョ
「ああ……届いてたよ。」


真っ二つに破って丸めて捨てたけどね。


「大阪には帰ってけえへんのか?」


「えっ、うん‥…。休み、取れるか分かんないし。」


「そうかぁ……。」


「山中は……?」


同窓会に興味がある訳じゃないけど、取り敢えず聞く。


「ん?」


「だから‥…‥同窓会、行くの?」


「うーん……行きたくないんやけどな。」


「ってことは行くの?」


「ん‥…‥…行かなアカンかなぁ。」


「なに?その歯切れの悪い言い方。」


「いやぁ……小夜子が行けって。」


「ん?小夜子?」


「覚えてるか?女子サッカー部キャプテンの。」


「ああ……あれだろ?俺らの中学に初めて女子のサッカー部を作ったあの小夜子?」


「そうそう。その小夜子。」


「その小夜子がどうしたの?」


「実はさぁ……」


「実は何?」


「俺、今、小夜子と付き合ってるねん。」


「えっ、マジで?」


「うん、マジで。」


小夜子は俺達と同じ学年で入学当初から女子サッカー部を作るんだとか言って学校内でもちょっとした有名人だった。


実は俺と山中は中学の頃、サッカー部に入っていたので小夜子の事はよく知っている。


女の癖にやたらすばしっこくてドリブルが上手くてグランドでもひときわ目立っていた。


それに小夜子が目立つ存在なのには他にも理由があった。


長い黒髪は頭のてっぺんで団子みたいに一つにまとめられていて前髪がいつも短いのが印象的だった。


見るからに気の強そうな……いや、実際、気の強い性格だったけど、とても面倒見も良く成績も良いことから先生からも信頼されていたし後輩からも慕われていた。


けれど顔も割りと可愛い部類に入るにもか関わらず恋愛関係はさっぱりのようだった。


あの気の強さとサバサバとした性格が俺達からするとどうも近寄りがたい感じがあった。


だから今、こうして山中の彼女と聞かされてもイマイチ、ピンとこない。


「小夜子が同窓会に出席した方がええって言うねん。いつまでも逃げてちゃダメやって。でも俺は気が乗らんのやけど……。」


なるほど、確かにあの小夜子なら同窓会に行けって言いそうだ。もちろん、それは山中を思っての事だろうけど。











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