桃の花を溺れるほどに愛してる
 しかし、適当にパラパラと漫画を読めど、しばらくしてお風呂に浸かってあがれど、いつまで経っても春人からの連絡は返ってこない。

 もしかして、無視、されている……?

 ……いやいやいやっ、春人はメールを送ればすぐに返してきていたから、無視は……無いと……思いたい。

 メールに気が付いていないだけだよね!きっと!もしくは……。

 もしくは――あの女性と一緒にいて、私のことなんてもうどうでもよくなっちゃった、とか……?

 ……。悪い方向に考えるのはやめよう。うん、きっと気が付いていないだけなんだわ。そうよ、そうに違いない。

 私はごろんとベッドの上に寝転がり、携帯電話を握り締めながらいつの間にか眠ってしまっていた……。


「桃花ー?天霧さんとのデート、何時からなの?時間、大丈夫ー?」

「……ん?」


 一階からお母さんに呼ばれ、ゆっくりと目を開ける。

 あれ……?私、いつの間にか眠ってしまっていた、んだ……?今はなん、じ……?

 ……っ?!

 午前11時?!

 あっぶなぁー!もう少しで榊先輩との約束の時間なのに、寝過ごしてしまうところだったわ!


「お母さん!ありがとう!」


 一階のお母さんに向かって礼を叫んだ私は、さっそく私服に着替えてからクシで髪を梳(と)く。

 ハンカチやティッシュ、財布などが入ったカバンを片手に、私は一階へと駆け降りた。
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