桃の花を溺れるほどに愛してる
 聖くん、また会えるかなぁ?見た目は怖そうだけど、いい人っぽいし……もうちょっと、お話してみたかったなぁ。

 ……っと、私もそろそろ教室の方に行こう。

 校舎に入り、廊下を歩いて自分の教室へと向かう途中、京子に出会ったので、私達は一緒に教室に向かった。

 さっき、龍宮司 聖くんっていう人と出会ったっていう話をすると、京子はキラリと目を輝かせた。

 ……嫌な予感。


「また新たな恋のライバル登場だね!」


 やっぱり。


「いやぁ、聖くんとはそういうのじゃないから……まずいち、私は春人とちゃんと付き合いだしたんだし」

「そうなの?!その話、あとでみっちり教えてね★」

「ほどほどにお願いするわ……」

「それにしても……龍宮司 聖って、どこかで聞いたことのあるような……」


 えっ?そうなの?

 恋愛関係や男子生徒プロフィールに詳しい京子がそう言うってことは、フツーの不良くんじゃないっていうことなのかなっ?

 有りがちだけど、学校で1番、ケンカが強いとか……見境なく女の子を食っちゃう狼とか?!

 それにしては……優しそうな雰囲気で、いい人っぽかったけどなぁ。

 人は見掛けによらないっていうことなのかねぇ?


「あっ、思い出した!」


 おっ?


「遅刻やサボり常習犯。ケンカの強さは学校でトップクラス!おまけに今まで食った女の子は数知れず……な、サイテーなヤツ」

「……」


 やっぱり。


「……っていう、噂」

「噂かっ!!!」
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