桃の花を溺れるほどに愛してる
 噂なら気にする必要はないや。嘘かもしれないわけだし、根も葉も無い噂で人を判断したくないし。


「私だってよくは知らないんだよ~!あっ、でもでも、甘党なのは確実だって!」


 なにそれ。

 甘党?聖くんが甘いモノが好きだなんて、想像が出来ないんだけど……っていうか、それって別に大きな情報でもなんでも無いよね?


「なんかさぁ、ケーキとか好きなんだって。行きつけのお店もあるみたいだし」

「へぇー、そうなんだ」


 行きつけのお店かぁ。私もケーキとか、甘いモノは好きだから、それはちょっと気になる……かも。

 そんな会話をしていたら、いつの間にか自分の教室についていた。

 自分の席に座り、ホームルームの時間になるのを待っていると、鞄の中から微かに携帯電話の震動する音が聴こえた。

 携帯電話を取り出し、そっと開いてみると……。

 “新着Eメール 27件”。


「……まさか」


 おそるおそる、受信ボックスを見てみると、予想通り、“ぜんぶ”春人からのメールだった。

 “僕のわがまま、本当に申し訳ございません。もう1度だけ、言わせてください。彼とは関わらないでください。お願いします”

 要約すると、そんな内容だった。

 そんなに榊先輩と関わってほしくないんだ……。

 この文面を見ていると、春人の必死さが伝わってくるような気がする。

 さっき、聖くんにも気をつけろとかなんとか言われたし、そんなに関わらない方がいい人なの?榊先輩って。
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