桃の花を溺れるほどに愛してる
 私は榊先輩とは友達として仲良くしていきたいと思っているけど、榊先輩は……私に対して少しでも恋愛感情を抱いているのなら、友達としての付き合いはやめた方がいいのかもしれない。

 榊先輩のためにも、ここはハッキリと断った方がいいだろうし、友達としての付き合いも榊先輩にとってはつらいだろうから……。

 交流を断ち切った方が、いいんだろうな。

 ちょっと暗い気持ちを抱いたまま、私は昼休みを迎えた。


「桃花ちゃんっ!」


 廊下の方から名前を呼ばれたので、そちらに目をやると、榊先輩が私に向かって手を振っていた。

 メールにも書かれていた、昼ご飯を一緒に食べようっていうヤツだよね。

 学校の王子様登場&その王子様が私(のような凡人)を呼んでいることに対し、周りの生徒たちはザワザワとしている。

 榊先輩のファンの子たちに限っては、鋭い視線を向けてくるし……。


「あの子、彼氏いるんじゃないの?ほら、送り迎えしてくれている人」

「え、やだぁ!浮気ー?」

「サイッテー!」


 うう、悪口も言われる始末だよ!

 っていうか、浮気じゃないし!榊先輩とはただの友達だしっ!……今日でその友達という関係も、断ち切るつもりだけどさ。

 私はみんなの顔が見づらくて、俯きながら榊先輩のもとに寄った。
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