桃の花を溺れるほどに愛してる
「そんなの知らねーよ。嫌ならやめれば?」

「ハァ?!マスターを裏切るようなそんなマネ、出来るワケねぇだろ!」

「じゃあ、文句は言わねーことだな」

「お前が店に来なければいいだけの話であって!」

「一応、俺、客なんだけど?」


 ……なんか、本格的な言い合い喧嘩……始まってないですか?

 他のお客さんのこともあるし、この場所で兄弟喧嘩をするのはよくないよっ!

 でも、どんどんヒートアップする2人にどうしたらいいのかとオロオロとしていると、向こうから1人の女性が歩み寄ってきた。

 あっ、もしかしてうるさいって苦情を言いに来たんじゃ……?!

 はやく、なんとかして2人の兄弟喧嘩をやめさせないと――!


「はーい!そこまで、です!」


 歩み寄ってきた女性は、言い合い喧嘩をする2人の間に割り込んだ……のだけれど、思っていたより優しい口ぶりに拍子抜けしてしまう。


「り、りっ、り、里桜ちゃん?!」

「どうもっす、里桜さん」


 リオ……さん?

 里桜さんって確か、桐生さんの婚約者である篠原里桜さん……?

 うっわぁ!前に見た時は遠くからでよく見ていなかったけど、こうして近くで見ると綺麗な人だなぁ!
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