桃の花を溺れるほどに愛してる
「えぇぇぇえええっ?!」


 驚きのあまりに大きな声で叫んだものだから、店内のみんな、ビックリしたような面持ちで私の方を向く。

 自分の招いたこととはいえ、やっぱり恥ずかしいので、私はすぐに俯いた。


「そうだったんですか?」


 これには春人も驚いたみたいで、確認するように聖くんに尋ねた。


「実はそーなの。だからこの店にはあまり来たくないっていうか……。ケーキがとっても美味しいだけに、もったいないというか」

「ご注文の品にな·り·ま·すー!」


 ニコニコと微笑む司さんが、私と春人が注文したものを持って来てくれた。

 どうしてだろう……ニコニコと微笑んでいるのに、すごく怖い。


「もっと丁寧に運べよなぁ。どれくらいこの店で働かせてもらってるわけ?やっぱりこういう接客業、兄貴には向いてないんじゃねぇの?」

「黙れっ。またのこのこと店にやって来やがって……!お前が頼んだ注文の代金、ぜ·ん·が·く、俺の給料から差し引いているんだからなっ?!」


 えっ?!いきなり兄弟喧嘩?!

 しかも聖くんが頼んだ注文の品の全額、司さんの給料から差し引いているって……?!

 2人が兄弟っていうだけでかなりの驚愕を味わったのに、司さんの口から語られる衝撃の事実にさらに驚愕なんですけどっ?!
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