桃の花を溺れるほどに愛してる
 気付かれてしまったらまかれる可能性があるので、僕はなるべく一定の距離を保つようにして車を走らせた。

 榊壬の乗っている車を運転している人って、誰なのだろう?20歳以上の人であることに間違いはないのだろうけれど……。

 というか、彼等はどこに向かって車を走らせているのだろう?

 学校はもちろん、榊壬の家からさえもどんどんと離れていく。

 この先に何かあったっけ?走らせていて前方に見えるのは、緑が生い茂った大きな山くらいだ。

 ……ん?
 ……山?

 確か、あの山って、廃墟になった病院があるって……父さんが昔に言っていたような気がする。

 まさか……ね。

 しかし、僕の疑念とは裏腹に、榊壬を乗せた車は真っ直ぐに山へと向かっていて、そのうち、山の中の道に車を走らせていく。

 このままだと、僕の思った廃墟の病院にたどり着いてしまうのだけれど……やっぱり彼等はそこに向かうつもりなんだろうか?

 桃花さんを連れて?どうして?……いや、どうしてかなんて考えている暇はない。一刻も早く、桃花さんを助け出さないと……!
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