桃の花を溺れるほどに愛してる
春人を見送るために、一応玄関まで見送りをする私。うん、相手はストーカーなのに、私ってば優しい……!
……いやっ、これは春人が変なことをしたいために見張るためだから!決して寂しいとかじゃないから!
「じゃ、さようなら!」
「はい!また!」
さりげなく“アンタとは2度と会いたくない”風に別れの挨拶をしたのに、春人には“また!”って返された……!
私はコイツと2度と会いたくないのに、コイツはまた私と会う気満々だ……!
監視カメラやら盗聴器を詰めた袋を持った、私の家から遠ざかっていく春人の背中を見つめる。
途中、振り返って微笑みながら手を振ってきたことにはビックリしたので、私はビックリさせられた腹いせにプイッと無視してやった。ざまをみろ。
いきなり振り返って私をビックリさせるのが悪いんだから……!私は悪くないっ。
家の中に入り、階段をのぼって自分の部屋に戻ろうとすると、リビングからぴょこっとお母さんが顔を覗かせた。
「あら。天霧さん、もうお帰りになられたの?」
「うん」
「もうちょっとゆっくりしていけばいいのに……」
「ゆっくりしなくていいわよ!あんなヤツ!」
プンプンと怒って自室に戻る。
ぽつんと残されたお母さんが、「若いっていいわねぇ」と呑気に呟き、微笑んだことを、私は知らない。
……いやっ、これは春人が変なことをしたいために見張るためだから!決して寂しいとかじゃないから!
「じゃ、さようなら!」
「はい!また!」
さりげなく“アンタとは2度と会いたくない”風に別れの挨拶をしたのに、春人には“また!”って返された……!
私はコイツと2度と会いたくないのに、コイツはまた私と会う気満々だ……!
監視カメラやら盗聴器を詰めた袋を持った、私の家から遠ざかっていく春人の背中を見つめる。
途中、振り返って微笑みながら手を振ってきたことにはビックリしたので、私はビックリさせられた腹いせにプイッと無視してやった。ざまをみろ。
いきなり振り返って私をビックリさせるのが悪いんだから……!私は悪くないっ。
家の中に入り、階段をのぼって自分の部屋に戻ろうとすると、リビングからぴょこっとお母さんが顔を覗かせた。
「あら。天霧さん、もうお帰りになられたの?」
「うん」
「もうちょっとゆっくりしていけばいいのに……」
「ゆっくりしなくていいわよ!あんなヤツ!」
プンプンと怒って自室に戻る。
ぽつんと残されたお母さんが、「若いっていいわねぇ」と呑気に呟き、微笑んだことを、私は知らない。