カリス姫の夏




……ハァ………ハァ………ハァ………






明日からの夏休みを待ちきれないらしく太陽はようしゃなく強い日差しを降り注ぎ、私をゆううつにした。


校舎から一歩外に踏み出した私は、太陽をにらんだ。太陽は『これが私の仕事ですからね』と精をだし働く。まぶしさに顔をしかめたが、くそまじめな仕事ぶりに腹を立てる元気はない。


太陽にさっさと白旗を上げると、背中を丸めうつむき前を歩く2人の女子高生の後についた。

その女子高生達は大げさに手ぶり身ぶりを加えながら、明日からの予定を嬉しそうに話している。高校最後の夏休みに有頂天(うちょうてん)になりながら。


「えーー?!マジ?
卒業旅行の前倒しなんて聞いたことないよーー」

「推薦で大学決まってるもん。
2年間部活がんばったごほうびだよ」

「いいなー。
あたしなんて明日から塾通いだよ。
でもね、そこの講師がチョーかっこよくって……」


よっぽど高性能な日焼け止めを使っているのですか?
太陽光の不愉快さは気にもならないんですね。
どこのメーカーなのか教えてください。




……ハァ………ハァ………ハァ………






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