カリス姫の夏

前を歩く女子高生はクラスメイト。それは学校公認の事実。でも、友人だと思っていたのは私の勘違いで本当は他人だったんじゃないかな。



『一緒に帰ろう』なんて特別、誘われていないのは、テレパシー並みの以心伝心ができるから。

話し掛けられないのは、人の会話を聞いてる方が好きだって、私の事よく理解してくれてるから。


そう言い聞かせ、時折、自己主張するうっぷんとも上手に折り合いをつけてきた。この処世術(しょせいじゅつ)で2年4カ月、無事に高校生活を送ってきたじゃない。


なのになぜだろう。今日に限って誤魔化しきれないうっぷんが、じわりじわりと湧き出てくる。



愉しげに会話する2人は、後からついて歩く私が急にいなくなっても気にも留めないのではないだろうか。それどころか存在していると思っているのは実は私だけで、彼女達には………いや、この世界中全ての人に私の姿は見えていないのかも。


そんな最大級のネガティブが、誰からも非難されず大手を振って私の中をかっ歩した。


……ハァ………ハァ………ハァ……




本当にそうなのかもしれない。

だって、ほら、見て。

私がこんなに苦しんでいるのに、
誰も気づかない………
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