カリス姫の夏
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さやかさんとの別れを惜しむ私は「この列車に乗れなかったら函館まで歩くよ」と華子さんに脅され、渋々病院を立ち去った。
駅に向かうタクシーの車中ふてくされている私に、華子さんは恩着せがましく言った。
「子リス、金無いんでしょ。仕方がないから、帰りはフェリーしてあげたからね。
列車より安いから。
私は早く帰りたいんだけどさ、子リスに付き合ってあげるよ。
特別だよ」
お金に困っているのは、失業中の華子さんだって同じだろうに。それどころか、私と違って、かじるスネも持ち合わせていない華子さんの方が切羽(せっぱ)つまっているばず。
とも思ったが、前回で船の旅に味をしめていた私は反論しなかった。
ぎりぎりで間に合った列車に飛び乗り、二人がけシートが向かい合う座席に3人は座っていた。私は藍人くんからもらったスポーツドリンクを飲み干すと、身体に水分が満ちたのか、再び涙が流れ出た。
華子さんに
「子リス、もういい加減泣きやみなさいよ。
あたしが意地悪してるみたいじゃない」
と苦言を呈されても
「だって……
だって涙が止まんないんだもん」
と、子どもみたいにするねことしかできない。
藍人くんから借りたタオルハンカチで涙を拭きながら、私はひっくひっくとしゃくりあげた。
呆れた華子さんはそれ以上何も言わかったが、向かい側に座る藍人くんは「大丈夫?大丈夫?」と心配そうに声をかけ続ける。
藍人くんの気持ちは嬉しいが、正直こんな時は放っておいて欲しい。そんな私の気持ちを察したのか、華子さんは「カイワレ、あんたさ、ちょっとあっちの出入り口に方に行ってな」と乗車口を差した。
不満そうな藍人くんは「ウザいんだよ」とばっさり切り捨てられ、仕方なく席を離れた。
ローカル線の小さな駅を出発した列車は、三両編成でこじんまりとしている。それでも、この列車に乗り遅れるとつぎは2時間近く待たなければならない為か、乗客は思いのほか多く、座席はそこそこ埋まっていた。
どこかで仕事を終えたのかスーツ姿の人。
おみやげを抱えた旅行者。
帰宅途中の高校生。
乗客は様々だが、皆それぞれの事情を手荷物にしまい乗車している。
そんな日常に、少しだけ落ちつきを取り戻した私は、涙の跡をハンカチでぬぐい、華子さんに尋ねてみた。
「ねえ、華子さん。
華子さんはなんでこんなことになっちゃったんだと思います?」
ガラ携を手に、メールをチェックしていた華子さんは、そのままの格好で「んー?」と鼻を鳴らした。
華子さんが真剣に答えてくれなくて構わない。ただ自分の考えを整理したくて、私は話し続けた。
さやかさんとの別れを惜しむ私は「この列車に乗れなかったら函館まで歩くよ」と華子さんに脅され、渋々病院を立ち去った。
駅に向かうタクシーの車中ふてくされている私に、華子さんは恩着せがましく言った。
「子リス、金無いんでしょ。仕方がないから、帰りはフェリーしてあげたからね。
列車より安いから。
私は早く帰りたいんだけどさ、子リスに付き合ってあげるよ。
特別だよ」
お金に困っているのは、失業中の華子さんだって同じだろうに。それどころか、私と違って、かじるスネも持ち合わせていない華子さんの方が切羽(せっぱ)つまっているばず。
とも思ったが、前回で船の旅に味をしめていた私は反論しなかった。
ぎりぎりで間に合った列車に飛び乗り、二人がけシートが向かい合う座席に3人は座っていた。私は藍人くんからもらったスポーツドリンクを飲み干すと、身体に水分が満ちたのか、再び涙が流れ出た。
華子さんに
「子リス、もういい加減泣きやみなさいよ。
あたしが意地悪してるみたいじゃない」
と苦言を呈されても
「だって……
だって涙が止まんないんだもん」
と、子どもみたいにするねことしかできない。
藍人くんから借りたタオルハンカチで涙を拭きながら、私はひっくひっくとしゃくりあげた。
呆れた華子さんはそれ以上何も言わかったが、向かい側に座る藍人くんは「大丈夫?大丈夫?」と心配そうに声をかけ続ける。
藍人くんの気持ちは嬉しいが、正直こんな時は放っておいて欲しい。そんな私の気持ちを察したのか、華子さんは「カイワレ、あんたさ、ちょっとあっちの出入り口に方に行ってな」と乗車口を差した。
不満そうな藍人くんは「ウザいんだよ」とばっさり切り捨てられ、仕方なく席を離れた。
ローカル線の小さな駅を出発した列車は、三両編成でこじんまりとしている。それでも、この列車に乗り遅れるとつぎは2時間近く待たなければならない為か、乗客は思いのほか多く、座席はそこそこ埋まっていた。
どこかで仕事を終えたのかスーツ姿の人。
おみやげを抱えた旅行者。
帰宅途中の高校生。
乗客は様々だが、皆それぞれの事情を手荷物にしまい乗車している。
そんな日常に、少しだけ落ちつきを取り戻した私は、涙の跡をハンカチでぬぐい、華子さんに尋ねてみた。
「ねえ、華子さん。
華子さんはなんでこんなことになっちゃったんだと思います?」
ガラ携を手に、メールをチェックしていた華子さんは、そのままの格好で「んー?」と鼻を鳴らした。
華子さんが真剣に答えてくれなくて構わない。ただ自分の考えを整理したくて、私は話し続けた。