Doll‥ ~愛を知るとき


大家さんの顔は知らない。

面識があるのは、樹だけだから。


大家と名乗った浅黒い顔のお爺さんは、あたしを見て愛想笑いをした。

「桜井さん、ご主人は?」


“ご主人”なんて言葉、聞きなれていない。


「‥まだ、帰ってません。」

躊躇いがちに そう答えた時、大家さんの前に割り込むように男の人が入って来た。

そして

「林田愛波さんだね?」

って、訊いた。


 
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