Doll‥ ~愛を知るとき

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薄暗い部屋の片隅で、あたしは壁に身を寄せて しゃがみ込んでいる。


─ また、あの夢だ‥


意識の奥で、そう感じている。


部屋の扉を閉めた男は、唸るように言った。

「エナ、こっち来いや!」


鈍く光る包丁の先があたしの瞳に映っている。

心臓は、バクバク音を立てて鳴っている。

苛つきを露にした声で、男は気味悪く囁いた。

「自由にはさせへん。オレから逃げれると思うなよ。」


─ その方言‥


あたしは、顔を上げ男を凝視した。

瞳をギラ付かせた樹の顔があった。


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