Doll‥ ~愛を知るとき
気付けば、走り出していた。
何も分からない、何も知らない。
イヤだ‥
イヤだよ‥
あたしはママなんかじゃない‥
あんな子、知らない‥
あんな人達、知らない!
もう やめてよ!!
非常口と表示されたドアを開け、外に飛び出した。
「林田さんっ!」
追い掛けて来た看護師が、あたしの腕を掴んだ。
「あたし‥、岬です‥。岬‥、愛波‥です‥。」
苦しくて、苦しくて‥。
芝生の上に泣き崩れた。