Doll‥ ~愛を知るとき
分からない。
何故だか分からないけど、体の奥から急激に愛しさが込み上げて来た。
「愛翔‥。」
まるで、見えない何かに誘われるように、あたしは床にしゃがんで愛翔を抱きしめた。
ふんわりとした甘い香り。
とても懐かしい気がした。
細胞が共振を感じるような、全身に例えようのない震えが駆け抜ける。
「愛翔‥。」
何も思い出せない。
だけど、
─ 愛翔は、あたしの子ども‥
そんな実感が溢れて、涙が止まらなくなった。