Doll‥ ~愛を知るとき
抱きしめた愛翔の頬が あたしの頬に触れている。
少しも違和感を感じない。
柔らかく滑らかな肌は、あたしの体の一部みたい、吸着するように合わさっていた。
溢れくる愛しさは、樹に感じていたような甘い恋の感情とは違う。
それは、とてもとても深くて、そして、神秘的だった。
「愛波!」
不意に廊下から呼び掛けられ、顔を上げると浩也の姿が見えた。
心配そうな表情で こちらを見ている。
「病室にいてないからビックリしたやろ‥。」
「ごめんなさい。」
あたしは立ち上がり、愛翔の手を引いて廊下へと進んだ。
浩也は紙パックのジュースを、あたしに向けて差し出した。