Doll‥ ~愛を知るとき
ただ、愛翔の出生さえ思い出せないあたしに、彼の好物が何なのかを思い出せるわけもなくて、
「愛翔、ハンバーグすき?」
無難なものを選んで、尋ねてみる。
「うん♪」
愛翔が嬉しそうに笑ったから、少しホッとした。
「じゃ、買い物行くか?」
そう訊いた浩也に頷いて、愛翔を連れ家を出た。
一緒に行動している間のぎこちなさは否めない。
今のあたしにとって浩也は全くの他人同然だから。
マンションから歩いて五分ほどの場所にあるスーパーで食材を買い、あたし達は帰路についた。