Doll‥ ~愛を知るとき
「アイツも、うちで働いてたんやで。」
「え?」
「桜井‥。アイツも うちの従業員やった。」
─ うそ‥
浩也は、言った。
樹は、一緒に働いていたあたしに密かに想いを寄せていたらしいって‥。
だから、浩也とあたしが結婚したあとも、あたしを付け回すようなことをしていたんだって‥。
「でも、もう何も思い出すな。思い出しても苦しむだけや。これからのこと考えて行こ。な?」
浩也は、そう言うと
「愛翔を風呂に入れて来るから、愛波はメシ作ってくれや。」
と、愛翔を連れてバスルームに向かった。