Doll‥ ~愛を知るとき
キッチンに立って、ひとり考えていた。
一緒に働いていたことを 樹は何も話してくれなかった。
どうして隠していたんだろ‥
あたしが思い出せば、都合が悪いから‥?
深く考えても仕方ない。
勝手の分からないキッチンで、調理用の道具を探す。
シンク上の戸棚に入っていたボールを取り出して、ふと、気付いたことがあった。
樹と一緒に住んでいたアパートでも、あたしはシンク上の戸棚にボールを片付けていた。
フライパンはシンク下の左端、お鍋は‥、調味料は‥。
全部、あのキッチンの片付け方と同じ。
その癖に気付いた時、この家に住んでいたんだと実感した。