Doll‥ ~愛を知るとき
愛翔は、自分のことを「あーくん」って呼ぶ。
そして、「ぼく」って言う時もある。
「ぼく、こけたねん。」
「うん、こけちゃったね。」
少しずつ愛翔の体の重みを感じながら、マンションに向かって歩いた。
振動で下にずり下がるから、何度も抱き直しては歩を進める。
「ね、愛翔。愛翔は、ママに“あーくん”って呼ばれたい?それとも“あいと”のままがいい?」
そう尋ねると
「あーくん!」
愛翔は、ニッコリ笑って答えた。
「そっか。じゃ、ママも“あーくん”って呼ぶね。」
「うん。」
きっと、以前は そう呼んでいたんだ。
笑顔の愛翔に頷いて、あたしは歩調を速めた。