Doll‥ ~愛を知るとき
古びた青いベンチで、ボーッと座っている。
犬を散歩させている人や、遊具で遊ぶ小学生を無感情で眺めている。
はらはら舞い落ちる枯葉を、一枚 二枚と数える。
地面に伸びた自分の影に、視線を落として泣いた。
「愛波ちゃん‥?」
優しい声。
あたしの知っている声が聴こえた。
── 樹先輩‥
DOKIDOKIと鼓動が音を立て鳴り出した。
「はい‥。」
ゆっくりと顔を上げた。
潤んだ瞳に、樹が映った。
指先で涙を拭いて、あたしはベンチから立ち上がった。