Doll‥ ~愛を知るとき
「愛波ちゃん、泣いてた?」
樹に訊かれて、首を横に振った。
泣き顔を見られたのに頷けなかった。
「部活‥、ヤメたよな?」
彼は、夏休みの試合を最後に引退している。
あたしのことを歌穂が話したんだと思った。
「はい‥。」
恥ずかしくて、目を合わせることも出来ない。
落ち着かないせい、何度も瞬きをして‥。
緊張で胸が詰まる。
この場から逃げ出したくなった。
「あの‥、あたし‥帰ります。」
ベンチに置いた鞄に手を伸ばした時
「オレ、信じてないよ。」
樹は、言った。