Doll‥ ~愛を知るとき
†10 愛悪
高校卒業後、あたしは懐石料理の店で働くことになった。
店には歩いて五分と掛からない場所に個室寮がある。
初めての一人部屋。
間取りは1Kで狭い。
それでも、あたしだけのお城になった。
支給されていたお小遣いや高二から始めたバイトで稼いだお金は、コツコツ貯めていた。
その貯金を使って日用品や雑貨を揃え、古びた部屋を可愛く飾った。
お風呂の時間も、起床時間も就寝時間も決まっていない。
細やかな自由。
身体中に解放感を感じていた。