Doll‥ ~愛を知るとき
浩也とは、その店で知り合った。
経営者である料理長の息子だということを知ったのは、少しあとだったけど‥。
仕事は早番と遅番がある。
シフトが重なると、彼は よく話し掛けて来た。
人と話すのは苦手。
だけど、何度も声を掛けられているうちに、自然と会話が出来るようになった。
「愛波ちゃん、メシ食えよ。」
「え?でも‥。」
従業員は、出勤順に賄いを済ませると決まっている。
なのに、浩也は時々あたしを優先した。
「浩也くん、愛波ちゃんに甘過ぎじゃない?」
パートさんに指摘されても
「可愛い子優先なんは、世界共通やろ。」
そう言って、笑っていた。