Doll‥ ~愛を知るとき
「樹でいいよ。もう、卒業してんだし。」
「あ、はい。」
返事はしたけれど、馴れ馴れしく名前でなんて呼べない。
「愛波ちゃん、この近く?」
そう訊かれて、お店の名前を告げ、店の寮に住んでいることを話した。
「マジ?」
「はい。」
樹の笑顔が恋の感情を甦らせる。
「奇遇だよな。オレも今日から、その店で働くんだ。」
「え‥?」
あたしは、樹を見つめた。
彼の澄んだ瞳に、胸がキュッと軋んだ。