Doll‥ ~愛を知るとき
「元気無いな、愛波ちゃん。」
樹は、そう言って優しく微笑んだ。
その笑顔に胸が キュンと軋んだ。
「遠慮すんなよ。言ってみな。」
いつまでも黙ってちゃ先に進めない。
あたしは、ソファに腰掛けた樹を見上げた。
「ずっと‥。」
言葉の先が出て来ない。
気持ちを読み取ってくれれば、どんなに楽だろうと思った。
「ん?」
小首を傾げる樹。
その首から肩にかけてのラインが綺麗。
緊張しているのに、頭の片隅で そんなことを考えている自分に気付く。
着痩せするんだ。
捲り上げたロンTの袖から見えている腕は、逞しかった。