Doll‥ ~愛を知るとき


「嘘なんか‥、ついてない‥。」

“すき?”と訊かれて頷いたことを疑っているのかと思った。

だけど、そうじゃなかった。

「正直に答えろよ。今、何が欲しい?」

樹は、そう訊いた。

「え‥?」


躊躇いは、悩んでいるからじゃない。

答えていいのかどうか、その迷いでしかなかった。


「オレは、愛波ちゃんが欲しい。愛波ちゃんは?」

ワンピの裾に滑り込ませた樹の指。

柔らかに、あたしを刺激する。

胸が絞り込まれるような感覚が体の中心を熱くする。

「ヤだ‥。」

「イヤじゃない‥。オレが欲しいって言ってみな。」

意地悪な囁き。

荒波に飲み込まれた小舟みたい、抗えなくなった。


「樹が‥、欲しい‥。」

答えるあたしを、樹は抱き上げた。


 
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