Doll‥ ~愛を知るとき
「練習中、何度も目が合っただろ?覚えてる?きっと、お互い意識してたんだよな。」
懐かしそうに、樹は言った。
二学期、歌穂に告白されて彼は断った。
だけど、傷付いた彼女が取った行動に驚いて、断り切れなくなった。
別れを切り出したのは、歌穂。
施設を移動して、自由に会えなくなったことが原因だと思うって‥。
静かな声で、樹は話し続けていた。
「付き合ってる時、何度か愛波のこと話題にして、歌穂ちゃんを怒らせたな‥。ガキだったよな‥、オレも。」
施設を出る前、歌穂が最後に言っていた。
「樹先輩、エナのこと気にしてたよ‥。」
あのあと、告白していたら何かが変わったのかもしれない。
でも、それは今だから言えることでしかなくて‥。