Doll‥ ~愛を知るとき
一学期、テニス部に入部したあたしを知った時から、樹は、気になっていたって言った。
─ 1人で練習? ─
早朝のグラウンドの隅でラケットを振っていると、通り掛かった彼は話し掛けて来た。
─ あ‥、はい ─
─ 岬 愛波ちゃん‥だよな? ─
─ はい ─
名前を覚えられていたことが すごく嬉しかった。
─ ラケット振ってみなよ。見てあげるからさ ─
とても緊張していたことも忘れられない。
グリップの握り方とか手首の返し方を、彼は丁寧に教えてくれた。
─ ん、ちょっと違うよな。こう、分かる? ─
─ はい ─
後ろから抱え込まれるように手首を握られて、あたしの心臓はパンクしそうになっていた。