Doll‥ ~愛を知るとき


その年 19歳になっていたあたしは、11月に赤ちゃんを産んだ。

大きな声で泣く元気な男の子。


「名前は真剣に考えなあかんな。」

仕事を早退して駆け付けてくれた浩也も、とても喜んでいた。

その姿に、父親になれば何か変わるかも‥、そんな期待を胸に抱いた。


授乳室で生まれたばかりの赤ちゃんの愛らしい唇に、母乳を含ませる。

勢い良く吸い付く顔を見つめて、あたしも笑顔になれた。


性別を知る前から男の子のような気がして、お腹の中にいる時、ずっと『あーくん』って呼んでいた。

赤ちゃんの『あーくん』

だから、『あ』で始まる名前にしたい。

生まれた今も『あーくん』って呼んでいるから‥。

そう思っていた。


 
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