Doll‥ ~愛を知るとき
その日以降、樹が病院に来ることは無かった。
退院の日、帰宅の準備を整えて、あたしは真保さんにサヨナラを言った。
「ひと月は実家にいるし、健診の時に会えるといいね。」
「はい、楽しみにしてます。」
連絡先は、聞かないことにした。
樹の姉だと知って、深く関わってはいけないと思った。
浩也は迎えに来なかった。
仕事が忙しいから無理だと断られた。
あたしは大きなバックを肩から提げ、ベビードレスを着せた愛翔を抱いて、予約したタクシーに乗り込んだ。
そして、運転手に浩也の実家の住所を告げた。