Doll‥ ~愛を知るとき
ココロに嘘はつけない。
頷きながら、涙が零れた。
樹の顔を見ることが出来なくて
「もうすぐ‥、授乳の時間だから‥。」
俯いたまま、踵を返した。
「愛波ちゃん。」
樹が呼び止めた。
踏み出した足を、あたしは止めた。
視線の先、樹の胸元でペンダントトップが光っている。
ジルコニアが嵌め込まれたシルバーの十字架は、涙で滲んで見えた。
「幸せになりなよ。」
あの頃と変わらない優しい声。
あたしの頭をクシャクシャ撫でて、樹は廊下を歩き去った。