Doll‥ ~愛を知るとき
浩也は王様、小さなお城の中で威張っている。
「あたしだって お洒落したい‥。可愛い服だって着たいの‥。」
思い切って訴えてみたけど、聞く耳なんてもってくれない。
「は?何を寝呆けたこと言うとんねん!“なんでも我慢する”って約束で愛翔の名前決めたんちゃうんか!フザケんな!」
威嚇しているんだ。
あたしの目の前に顔を近付けて、唾を撒き散らして怒鳴っている。
怖くて、何を言っているのか分からない。
ただ、目を血走らせて真っ赤な顔になっている浩也を見ている。
興奮すると息が臭くなるんだ。
怒り狂った彼の息は、腐敗した魚の匂いがした。
「謝れ!土下座して謝れ!」
大きな声で怒鳴るから、目を覚ました愛翔が泣き出した。
これ以上、彼を怒らせるのは時間の無駄。
「ごめんなさい。」
あたしは床に正座して頭を下げた。
浩也は舌打ちすると、ソファに座った。